2023年6月4日礼拝メッセージ

主題聖句:

ラマで声が聞こえる。むせび泣きと嘆きが。

ラケルが泣いている。その子らのゆえに。慰めを拒んでいる。

子らがもういないからだ。

      マタイの福音書2章18節

本日の説教要旨:「むせび泣きと嘆き」

 「ヘロデは、博士たちに欺かれたことが分かると激しく怒った…ベツレヘムとその周辺一帯の二歳以下の男の子をみな殺させた」。18節は、エルサレムからバビロン捕囚として連行されるイスラエル民族がラケルの墓のそばを通るとき、ラケルはイスラエルの母を代表してどんなに悲しみ嘆くであろうか、というエレミヤの預言です(同書31:15)。ラケルの嘆きは、そのままベツレヘム周辺の母親たちの嘆きとなりました。ラケルの泣き声が時代を超えてこだまし、今もこうした泣き声が世界各地でこだましています。しかし、旧約預言を成就するために、神が残虐行為を引き起こしたのでは決してありません。あくまでも人間の罪が引き起こした残虐行為であって、結果的に預言が成就したことを著者は注意深く表現しています(15、17、23節)。

 わが子を失って悲しみ嘆く親の姿は、父なる神の姿でもあります。主イエスの降誕は、十字架につけられて死ぬための降誕だったからです。主イエスの受難の日、どれほど大きな「むせび泣きと嘆き」が天でこだましたことでしょう。しかしエレミヤの預言には続きがあります。「あなたの泣く声、あなたの目の涙を止めよ。あなたの労苦には報いがあるからだ…彼らは敵の地から帰って来る。あなたの将来には望みがある」(同書31:16~17)。この預言どおりにイスラエルはバビロン捕囚から解放され、主イエスはエジプト逃避行を終えて故郷に帰り、第三の出エジプトとも言うべき十字架と復活による救いを成し遂げられました。「わたしは決してあなたを見放さず、あなたを見捨てない」(ヘブル13:5)、「あなたの泣く声、あなたの目の涙を止めよ」。