2023年12月31日年末感謝礼拝のメッセージ

聖書箇所 ルカの福音書 2章36~38節

主題聖句:

ちょうどそのとき彼女も近寄って来て、神に感謝をささげ、エルサレムの贖いを待ち望んでいたすべての人に、この幼子のことを語った。

      ルカの福音書 2章38節

本日の説教要旨:

「宮を離れずに」

 ヨセフとマリアは「幼子に…イエスと」命名し、「エルサレムに連れて行った…幼子を主に献げるためであった」(21~24節)。この幼子こそ約束の救い主だと確信して礼拝したのがアンナでした。

 アンナは「非常に年をとっていた…八十四歳」の「女預言者」で、「七年間夫とともに暮らしたが、やもめとなり」、人生の大半を一人で生きてきた女性でした。「親を失うと人は過去を失い、子どもを失うと未来を失い、配偶者を失うと現在を失う」(ある心理学者)。社会保障制度のない当時、夫を早く失ったアンナは、どれほど苦労し、多くの涙を流したことでしょう。今でこそ「宮を離れず、断食と祈りをもって、夜も昼も神に仕えていた」が、信仰によって立ち直り、再び立ち上がるまでにはそれなりの年月を要したことでしょう。

サウル王に執拗にいのちを狙われ続けたダビデが、いつ終わるとも知れぬ荒野逃避行中、モアブ王に両親の保護をお願いしたことがありました。その際、「神が私にどのようなことをされるか分かるまで…父と母を…住まわせてください」(Ⅰサムエル22:3)と言いました。アンナも同じように忍耐したのかもしれません。「神が私にどのようなことをされるか分かるまで」簡単に結論を出さないで、「宮を離れずに」その時その時最善を尽くしながら、忍耐しながら歩み続けてきたのでしょう。そんなアンナの信仰と祈りの報酬が、御子イエスに出会うという、これ以上ない幸いでした。

 「人は生きてきたように死んでいく。これまでの生き方が、末期に濃縮する形で現れる。良き死を死すためには、良き生を生きる必要がある。歳とともに体の機能が衰えるのは当然のことで避けることはできない。大切なのは、その衰えをどう受けとめるかである」(柏木哲夫兄)。これまでどのような思いで歩んできたか省みてみませんか。